(OB 近況) 能登屋照江 (1976年卒) ネット詐欺多国籍編

数年前秋風が立つ頃洗濯機が壊れた。

こりゃあ困った、と一瞬慌てたが川で洗濯の時代に生まれた、お一人様暮らし、無きゃないでミニマリストよろしく何とかなった。

生来の出不精もあり何でもネットで買う私であるが、翌年5月のある日二層式の可愛いミニ洗濯機を見つけた。しかも6650円と安い。早速ポチっと購入。

すぐに北川何某という個人名からのメールに支払い案内があった。が、今時珍しく郵便振り込みであった。しかも振り込み先名はホアンバンヒエンと表記されていた。一体オタク達何人? と、この段階で怪しい要素は揃い踏みであったが、24時間以内なら振込料を持ってくれるという、その甘言に乗りトリアエズ振り込んだ。ああ、高齢者が無料に弱いことを敵は見抜いていたのだ。

すぐにメールが来て一両日中に発送とのことであった。何やら国籍の怪しげな業者であったが、基本「性善説」で人を余り疑わない私も一応念のため、洗濯機のメーカーを検索。すると、横浜のちゃんとした会社が製造元であった。

 

しかしそれからが相手の本領発揮であった。10日経っても品物は届かず、ある日只今欠品しているので当社の他の製品を選ぶか、払い戻しの手続きをしてくれるように、とメールが来た。そのメールにラインの案内がありそこから手続きをしてくれとの由。

しかしそのラインは登録がなく、書き添えてあったラインIDで検索したらアラビア語のラインに行き着いた。何じゃこりゃ、又国が増えた、とそのアラビア語をグーグル翻訳にかけたら「神の偉大な愛、神の子そして母の愛」等と書かれていた。何が神の愛だ!

仕方ないのでそのアラーの神に「どこで代替え商品を選べばよいのか」とか「早くお金を返してくれ」とか送っても返事がないので「君たちは詐欺師の集まりか」とか「警察に被害届けを出して、消費者センターも調査中だ」などと段々エスカレート。

以前、ネットでサンダルを買った際も少々詐欺まがいであったが色々画策してお金は返ってきた。その時、もう大手のサイトでしか買うまいと思っていたのに喉元過ぎればすっかり忘れていたのだ。

 

消費者センターに連絡し成り行きを話すと、今大流行の詐欺グループで返金はペイペイですると言ってペイペイの残金も持っていかれるとか。「まだ一時被害で済んで良かったですよ」と慰められた。

そう言われても気が収まらず寝酒の酔いの勢いでラインに毒づいていると、「払い戻しの手続きをするサポートライン」なる案内がきた。

一瞬、私の脅しが効いてついに返してくれる気になったのか、と見当はずれの甘い期待をした。

そのラインに「欠品している洗濯機はいつ入荷するのですか」と白々しく聞くと「来年」と一言。「ネットで販売していてお金だけ払わせて、来年って変ですね」と送ると「何が変ですか」と来た。「あの洗濯機のメーカーは日本ですよ。あなたはどこの国の人ですか」と聞くと「私達は韓国です。洗濯機も韓国で製造してます」だと。又国が増えた。多国籍詐欺グループだ。

そして、来たアー!

ついにペイペイでの払い戻し方法を、たぶん高齢者向けに丁寧に解説した案内を送ってきた。「そんな支払い方法知りません」と高齢者らしくやり取りしながら、再度消費者センターに現在やり取りしている最中だけど、相手を特定できないか、と聞いてみた。

しかし「海外の色々な所を経由してのやり取りだし、振込先の郵便通帳も売買されたものなので特定したところで名義人本人は何も知らないです。もう関わるのは止めた方が良いと思います。」と今度は諭された。

ウーㇺ…、つまらん‼と思ったが被害額は6100円なので「まっ、しょうがないか」と執念深い巳年の私もついに諦めた。

この件を友達に話すと「そんな詐欺師達とよくラインでやり取りするよね。怖い」とついには呆れられた。

その頃、折しも訪ねて来た長男にもその一下りを話した後日談。

「お母さん、俺のバリバリ若い友達も同じ手口で騙されたんだって!オカンじゃ、しょうがないよ」だと。

私としては、「ふーん、そうなんだ」と微妙な気分であったが・・

 

その後そのメーカーの膝丈ほどの可愛い洗濯機をちゃんとした所から8800円で購入した。

そして、詐欺師たちの事はすっかり忘れて40年ぶり?の懐かしい二層式洗濯機で、8ヶ月振りの洗濯生活を楽しんだのであった。