第14代部長 山下純一さんとのインタビュー ◆◆新企画第2弾◆◆

◆◆ 新企画第2弾 ◆◆

第14代部長 山下純一さんとのインタビュー  2023年2月24日

本日は、このインタビューシリーズ第二弾としまして、第十四代部長を歴任された山下純一さんをインタビューさせて頂きました。山下さんは、実は私が現役時代にずっとお世話になった私の一年先輩の部長です。山下さんと40年ぶりにビデオでお会いでき、現役時代の想い出が蘇ってきました。以下がその内容です。

  • 自己紹介をお願いします。

昭和33年生まれの64歳です。高校生の時に英語に興味を持ち、将来的に海外で仕事がしてみたいとの思いで関西外大に入学しました。また同じ思いでESSへの入部を決意しました。学生時代はESSの活動と学費稼ぎのアルバイトに明け暮れ、4回生で52単位を履修することとなり大変でした。今でも時々単位を落として卒業できない夢を見ます。卒業後は神戸に本社がある機会メーカーに就職し、東京で輸出業務に携わりました。2年後にECC外語学院に転職し、スタッフ兼英会話講師を務めました。ただ勤務時間が午後から深夜までと不規則だったため、将来のことを考え、1988年にファミリーマートに就職。

会社は海外展開を計画しており、その海外要員として入社。研修後すぐに台湾での事業立ち上げを担当し、その後、韓国、タイ、中国、アメリカ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、マレーシアでの事業立ち上げを行いました。ファミリーマートでは33年間勤務しましたが、その内20年間はタイとベトナムで現地の責任者として仕事をさせて頂きました。

2021年2月末で同社の執行役員を退任し、現在は子会社でデジタル金融を行うファミマデジタルワンという会社で監査役をしていますが、今年2月末で退任の予定です。

今年の4月からは一般社団法人日本CBMCで理事長として活動する予定です。CBMCは1930年にアメリカで誕生し、現在は世界90の国と地域に拠点を持つ世界最大の経営者及び実業者をメインとするキリスト教団体です。アメリカでは毎年現役大統領を招いてのNational Prayer Breakfast(国家朝餐祈祷会)などを主催しています。日本でも同様の会を大臣や国会議員、各国大使などを招いて毎年開催しています。

  • 日本発のコンビニストアを海外で展開されていったという事ですね。海外でご活躍された山下さんですが、ESSの活動がどう貢献されたのですか?

ESSでの経験が役に立ったのは、組織の運営ですね。大きな組織の中で自分の好きな事を押し進めるというより、全体を考えて組織をまとめていくという事が大きな経験だったと思います。リーダがビジョン、方向性を示してその実現に向け、何をやり、何を止めるかを決め、人的、その他の資源をどう活かしていくかを学んだと思います。

  • ご苦労されたご経験のある山下さんですが、困難な事態に面した時の信条としていらっしゃる事はありますか?

26歳の時にクリスチャンになり、聖書を通じて、神様の偉大さと自分が如何に弱く小さいものであるかを思い知らされました。またタイで勤務した時には、2度のクーデター、2004年の津波被害、2011年の大洪水、爆弾テロ事件、政治暴動などを直に経験し、生命の危険さえも感じたことがありましたが、その中でも聖書の教えは心の支えになりました。またいろいろな国で仕事をする際も、その国々の文化や背景が全く異なることから現地社員とのコミュニケーションには大変苦労しましたが、聖書の教えの中にその解決のヒントとなる言葉が多くあり、大変助けられました。

仕事に関して言えば、1997年7月のアジア通貨危機で絶体絶命の体験をしました。タイでは1993年より事業展開したのですが、1997年4月の株主総会で事業拡張の為、約10億円の増資を提案し決議して頂きました。早速それを条件の良いファイナンシャルカンパニーに預金していたのですが、3か月後の7月1日にタイ通貨危機が勃発し、預金は全額タイ政府系銀行に強制的に移され、5年間凍結されてしまったのです。100名近い従業員の給与、仕入れ代金や家賃の支払い等を考えると気が遠くなり、目の前の風景が一瞬にして白黒の世界になったことを今でもはっきりと覚えています。

その時、もし信仰がなければと思うと、ぞっとします。「祈りは必ず聞かれる」と教えられていましたので、その通りにすると、日系の金融機関から融資を受けられたこと、政府系銀行に凍結された預金の利息が毎月支払われたこと、そして2年後には預金凍結が解除されたことで危機を乗り越えることができました。またこの危機を通して、現地従業員の結束が強まり、会社の業績も良くなっていきました。

  • キリスト教に改宗されたそのきっかけとなった事は?

改宗というか、私はもともと宗教には全く関心はなく無宗教だったのですが、妻(旧姓:久保恵美、短ディス出身)がアメリカ留学中に多くのクリスチャンの友人に巡り合い、その中の一人に日本にいる友人を紹介されたのがきっかけです。手渡されたその方の住所は何と枚方市牧野、妻のアパートから徒歩5分の距離だったのです。その後、その方をきっかけにいろいろクリスチャンの方に巡り合い、最終的にアメリカ人宣教師の方と親しくなり、その人の影響で信仰を持つようになりました。

先ほど、タイでは様々な出来事に遭遇し、命の危険を感じたこともあるとお話ししましたが、海外では良くあることなのです。ですので、例えばタイであれば国民の95%が熱心な仏教徒と言われますが、神仏に頼らなければ自分の力ではどうすることもできないということが根付いているのだと思います。逆に言えば、日本はあまりにも平和すぎて何かに頼るということは希薄なのではないでしょうか。

  • ご家族の構成をお聞かせ下さい?

息子3人に孫4人です。長男は、大学卒業後10年間、大手メーカーで半導体の仕事をした後、神学校で学び、2年前より教会の牧師をしています。次男三男は双子で、次男は調理師専門学校を出てイタリアンレストランでシェフをしています。三男はファッション関係の仕事をしています。三人三様、それぞれの分野で活躍しています。

  • EFEL会に対してEFEL会へのご希望、要望、アドバイスございますか?

我々の時と違い、ESSの部員数が非常に減少していると聞き心配しています。ESSのOBOGには社会的に成功されておられる方が多くおられますので、在学生に対するアピール等、何か支援ができないものかと思います。

  • 後輩に対しての就職のアドバイスとか可能ですか?

私自身、4回生で単位取得に苦しんだこともあり、まともな就職活動をしなかったので、的確なアドバイスは出来ませんが、採用する立場で、就職を希望される方への助言は出来ると思います。

  • 現役生へのアドバイスはございますか?

自分のやりたいことを悔いないようにどんどんすべきだと思います。勉強するにしても徹底的にすべきだと思います。クラブ活動では自分を確立する良い環境ですので、人間関係を大切にして欲しいなあと思います。

  • 今後のご計画は?

CBMCの活動を通して、今はアジア20か国の方と毎週Zoom会議を行っており、5月に台湾、8月に韓国の国際会議に出席する予定です。今までの会社の業務出張とは異なり、全く利害関係のない交流で、体力が続く限り真の国際交流を続けていこうと考えております。モットーはEnjoy Great Adventureです。

  • これからの日本に対する考え?

日本はある意味で非常に恵まれた環境ですので、危機感が希薄だと感じます。今、細川さんとお話している間にも、ロシアによるウクライナ侵攻や世界各地での自然災害などで苦しんでおられる方が大勢おられます。日本にいると他人事のように感じる方が多いのではないでしょうか。聖書には、「あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい。」という言葉があります。この精神が一人一人の心にあれば、人と人、国と国との紛争は起きないでしょうし、今苦しんでおられる方のことも自分事としてとらえることが出来るのではないかと思います。

インタビュー後記: 

関西外大を卒業して40年になりますが、全然お変わりない山下さんにお会いできました。実際にインタビューをさせて頂いている際も40年前の自分に戻ったかのような錯覚を覚えました。当時の山下さんの温厚なお人柄、そして周りの人々に気配りをし、それでいてしっかりとESSの活動を先陣を切って発展させておられた雄姿がファミリーマートの世界進出の先陣を切って行ってこられた姿と重なり目の前に鮮明に蘇ってきました。

今回お聞きしました経験から察しますとファミリーマートのアジア進出、北米進出の先駆けとして八面六臂のご活躍された由、さぞかしESSでの活動が活かされたと思います。そしてインタビューを通して感じた事は、様々な国々の人々との商談、また前代未聞の困難に直面された時に信仰からくる心の拠り所、そして信じる事の強さです。そして言葉の端々に奥様を始め、ご家族のサポートを強く感じました。

40年もの歳月を経て一瞬の内にタイムスリップして自分の青春時代に戻れるのもEFEL会の存在のお陰だと思います。

山下先輩、今日は貴重なお時間を頂き有難うございました。今後ともこれを機にEFEL会を通じて、そして個人的にもお付き合いください。

細川幸治記